コラム第1回目 バレエ風景

第1回: 初級クラス バー・レッスンの様子から

皆さまこんにちは。

パリ・オペラ座バレエ学校マーク・ドゥ・ブエ先生の講習会を企画・運営しております

Ai Ballet Academy主宰の伊藤藍衣です。

 

このコラムでは、この夏、マーク先生のレッスンを受講される皆さまのために、昨年のレッスンの様子のレポートや、レッスンをより有意義に受けるためのポイント等を指導者の視点から綴っていきます。

受講生の皆さまはもちろん、親御様、そして受講を考えている方にもぜひご一読頂ければと思います。

第1回の今回は、昨年2013年に行われたマーク先生の特別レッスン「初級クラス」の様子から、マーク先生の指導の核となる、アン・ドゥオールと全身のプレースメントへの指導についてです。

 

昨年の初級クラスには小学4年生以上のジュニアと大人、また指導者の方にもご参加頂きました。様々な年齢の方が一緒になるクラスではありましたが、マーク先生は生徒一人ひとりを丁寧に見てくださり、それぞれに必要なアドバイスを的確にされていました。

特に、生徒の身体に触れる、という指導をとても大切にされているマーク先生。バレエを踊る中で、体の各部位があるべき位置へと素早く導いていきます。

生徒は実際に触れられることによって、身体の動かし方や力の入れ方、力を入れる向き等を感覚として理解し、それを常に感じ、考えながら踊らなければならない、ということを改めて実感している様子でした。

バーレッスンでは、初級でありながらも、オペラ座のエッセンスが凝縮したアンシェヌマンが組まれ、それと同時にバレエの全ての土台となる基礎を徹底的に見直しながら進んでいきます。

マーク先生のバレエレッスン風景

中でも先生が繰り返し指導されていたのが、軸足のアン・ドゥオールとそれに伴う全身のプレースメントの修正です。

足首が捻れ、膝と腿がアン・ドゥオールできていない状態から、ふくらはぎを前に起こし、脚全体を引き上げながら腿をきちんと開かせていきます。そうすると、今までの間違った位置から全身の各部位が連動して動き、一時的に骨盤や上半身のバランスが崩れてしまいますが、さらにそこを修正していくことで、全身がきちんと引き上がったアライメントを体に覚え込ませて行くのです。

マーク先生のバレエレッスン風景

この「アン・ドゥオールしながら全身を引き上げる」という、バレエで最も大切な基礎は、バレエを習われている方はよくご存知だと思いますが、大変に難しく習得にとても苦労するものです。そして、それがバレエの全ての動きの基盤となるにも関わらず、勘違い、あるいは曖昧な捉え方等によって、コンクールや舞台に立つ人であっても、正確にできている人は少ないのが現状だと思います。

マーク先生は、バレエで最も重要なアン・ドゥオールと引き上げを、「身体のある一つの部位」を見て修正するのではなく、「全体の動きの連動」として、全身のバランスを見ながら確実に習得させていきます。身体的にはきついポジションではありますが、レッスン後には全身が開き、統合され、自由に踊れることを実感する方が多いでしょう。

自由に身体をコントロールできるからこそ、自由な表現ができるのです。

特にこれからダンサーを目指す方には、こうした基礎の徹底的な見直しをなるべく早い段階で定期的に行うことが必要だと思いますし、ジュニアの今まさに身体を作る過程にある方も、このような厳格な指導を受けることが大変に重要です。また、大人の方も、完璧ではなくても正しい体の使い方を知ることが、怪我をせずに長く踊ることにつながるでしょう。

身体の使い方に関しては大変ストイックなマーク先生ですが、レッスンは終始優しい笑顔と共に楽しく進みますので、受講者の方には緊張せずに存分に学んで頂ければと思います。

マーク先生のバレエレッスン風景

次回は初級センターレッスンの様子をお届けします。

(2014年5月19日)

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