第5回: オペラ座バレエ学校のデモンストレーション
いよいよ2014年夏期講習会初日まで残り数日となりました。
たくさんの方にお申し込み頂き、有難く思うと同時に、講習会が滞りなく進むようにと緊張感も高まってきています。
マーク先生のクラスの様子を綴ってきたコラムですが、
今回は少し趣向を変えて、オペラ座バレエ学校の公演の様子をお届けします。
パリ・オペラ座バレエ学校では、年に一度、
デモンストレーションDémonstration de l’École de danseが行われ、
日頃のレッスンの様子がパレ・ガルニエの舞台上で披露されます。
各学年、男女別のクラシックのデモンストレーションの他、フォークダンスやコンテンポラリー・ダンス、キャラクター・ダンス(民族舞踊)、そしてパ・ド・ドゥと、多岐にわたるプログラムを見られる貴重な機会です。実際の各クラスの先生の指導も入り、バレエ学校での6年間がどのようにして進むのかを垣間見ることができます。
そんなデモンストレーションでのマーク先生の様子を、当講習会監修・通訳の田川先生に頂いたので、いくつかご紹介したいと思います。
まずは先生が担当するクラスの男子生徒達とのレヴェランスの様子。
そして、全デモンストレーションの最後、教師陣が揃ってレヴェランスをする様子です。
真ん中にはエリザベット・プラテル校長の姿が。マーク先生はプラテル校長の左手です。また、元エトワールのウィルフロード・ロモリ氏の姿も。
改めて考えてみると、バレエ教育というものは8歳前後から15歳前後で決まる、と言っても過言ではありません。海外のバレエ学校では、その期間でプロになるための全てを学ぶのですから、いかに良い指導を行うか、可能性に満ちた若者の未来を担う指導者の責任は重大です。
マーク先生によると、オペラ座では指導者が共有しうる体系立てられた指導法が明確にあるわけではなく、それぞれの指導者がそれぞれのやり方で伝統を受け継いでいるとのこと。実際、私もオペラ座の先生方の指導を受ける中で、オペラ座スタイルや、オペラ座メソッドというものはあっても、細かな指導法については先生によって全く違うと実感しています。先生によって大切にするものは異なり、そうした個性豊かな先生の指導をそれぞれの段階で受けることによって、ダンサーとしての様々な可能性が広がっていくのではないかと思います。
マーク先生の指導の最大の特徴は、身体をどのように使うかということに明快な理論があり、さらにそれをどのように生徒の身体に覚え込ませるか、長年の経験による指導の方法が確立されていることです。
バレエの本質を捉えた指導から学びを得るのは、ダンサーを目指す受講生の皆さまはもちろんですが、実は指導者の方がより密接であると思っています。今回多くの指導者の方にお申し込みを頂いておりますが、次回は指導者コースを設ける予定で進めております。日本でのバレエ教育がさらに発展するよう、ぜひご参加頂く皆さまのご意見を伺いたいと思いますので、どうぞ宜しくお願い致します。
マーク先生は今月、イタリアで講習会、その次の日にはコペンハーゲンで講習会と、各地で指導に勤しんでいるとのことで、日本の皆さんに会えるのを大変楽しみにしているとのことです。
(2014年7月19日)