第8回:2016年講習会で大切にしていること

 

こんにちは。
Ai Ballet Academy主宰の伊藤藍衣です。

 

こちらのコラムでは講習会に際しまして、
バレエダンサーを目指す方や、そうしたお子様をサポートするお母様方に向けて、
バレエ教育に関して役に立つお話を掲載しております。

また、講習会に参加される全ての皆さまに向けて、
より楽しく有意義に講習会を受けて頂くための様々な記事を掲載しております。
どうぞご愛読のほど、よろしくお願いいたします。

 

講習会に向けて

今年も講習会が目前に近づいて参りました。
2016年の夏期講習会は、これまでのマーク先生お一人をお呼びしていたスタイルから大きく舵を切り、マーク先生とミュリエル先生のお二人をメイン講師として招聘いたします。

また、日本人講師や通訳、ピアニストといったスタッフ等が脇を固め、
コースやクラス数も大きく増設し、
より総合的な講習会へと発展する第一歩となっています。

 

参加した受講生が、
すべからく上達できる講習会とはどのようなものだろうか・・・。

頭の中では常にそうした疑問が駆け巡っています。

 

厳しく基礎を教えてもらえればいいのだろうか。
いくら基礎が大事とはいえ、
基礎ばかりでは踊り手としての魅力が伸びないのではないか。
とはいえ、ただ楽しく踊ればそれでいい、という講習会にはしたくない。

怪我を予防し、美しく機能的に踊るためには解剖学など身体の知識が必要だが、
どのようにすればより実践的に興味を持って学べるのだろうか。

長く踊り続けるために、本当に大事なことを学び深める、
生き生きとした場にしたい。などなど・・・。

 

また、指導者コースにおいては、
オペラ座バレエ学校というエリート養成のための場における指導を、
そのままの形で日本の指導の現場に入れることに意味はあるのだろうか。

身体条件や文化的背景の異なる日本の生徒にそのまま応用できるのだろうか。

オペラ座メソッドを日本の指導者が学ぶ意味とは何なのか。

どうしたら指導者コースの参加者が、
学びを深められる有意義なクラスになるのだろうか・・・。

 

マーク先生、ミュリエル先生はもちろんのこと、
その他講師やピアニストの先生方とも、
よりよいバレエ教育とは何なのか、
この講習会で皆さまにお伝えしたいことは何なのか、
様々な意見や疑問が飛び交っています。

 

2016年 講習会で大切にしていること

 

バレエを楽しく踊りたい。
それは、バレエを習う全ての人の望みだと思います。

 

ですが、バレエはただ楽しく踊れば良いかというと、それを許さない芸術です。
規則、規律、規範。
厳格な決まりがあり、その決まりを守るからこそ、
バレエはバレエであり得る。

 

バレエの規律を守るからこそ、
バレエを踊る喜びを真に感じられるようになります。

 

とはいえ、バレエにおいて守らなければならない規則、規律、規範は、
時にダンサーの体や心を蝕むことも。

 

ダンサーは生身の人間です。
いくら型や規律を守ろうとしても、身体的に難しいこともあります。
そして、そのことによって精神的な負担を受け、心を痛めることだってあるのです。

 

ではどうしたらバレエの規則を守りながら、心から楽しく踊れるのでしょうか?

 

それは、この講習会や普段のお稽古や舞台など様々な経験を通して、
皆さまが体験し、学び、考え、繰り返し練習し、
自分で答えを出していかれるべきことだと思います。

 

先生が仰ることが全て正しいとは限りません。
なぜなら、一人ひとり身体も性格もバックグラウンドも異なれば、
夢や目指す場所も異なるからです。

解剖学的にこうした方が良いということはありますが、
最終的に、自分が満足できる最高のバレエを作り出せるのは、
自分自身でしかないのです。

そして、自分の未来に責任を持てるのも
自分自身でしかないのです。

 

この講習会期間中に答えが出るものではないかもしれません。
何年もかかることだってあるでしょう。

バレエは奥深く、だからこそ、面白い。

 

 

この講習会で大事にしていることは、

バレエの厳格さを大切にしつつも、生身の人間の心と身体の大切さも重んじ、
自分を大切にしながらバレエの理想へと邁進する人のためにあろうとすることです。

 

ダンサーにならなかったとしても、この講習会に参加した中での学びを、
その後のバレエ人生に活かしてもらいたいですし、
その人自身の人生に活かしてもらいたい。

そうした想いを持って、講習会を開催しています。

 

多くの方がバレエを真に楽しめるようになること。
そうなることが、バレエという文化・芸術が、
広く豊かになっていく大きな力になると信じています。

 

 

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